Episode 01
静かな夜明け
上高地に到着した僕らは、山荘に荷物を置いて明神池まで歩いた。観光客で賑わう河童橋を起点に岳沢湿原を抜け、樹林を彷徨い、エメラルドグリーンの梓川に沿って歩いた。写真を撮りながらゆっくり歩いて片道2時間くらいの距離だった。
日もくれかけたころ、たどり着いた穂高神社には大きな鳥居が建っていて、遠くその先にそびえ立つ明神岳が見えた。その岩肌はゴツゴツと荒々しく、時折姿を見せる頂の様子は神々しいものを感じさせた。僕らは桟橋のかかった明神池を眺めながら、ルーカスの買ったえび煎餅をかじり、幸平くんは明神岳のスケッチをして帰路についた。
翌日の明け方、僕はひとり山荘を出て河童橋に向かった。そこには誰一人おらず、昨日の喧騒が嘘のように静まりかえっている。橋の上に立ち、ぐるりと周囲を見回してみる。薄い霧に包まれた穂高連峰の山々に見下ろされながら、僕はその静けさに耳を澄ました。
目を閉じると、知覚できる情報は梓川のせせらぎだけになった。その流れの先に体を向けて、そっと目を開けると、薄く藍色に染まった空が、山の谷間から顔を出した。
日もくれかけたころ、たどり着いた穂高神社には大きな鳥居が建っていて、遠くその先にそびえ立つ明神岳が見えた。その岩肌はゴツゴツと荒々しく、時折姿を見せる頂の様子は神々しいものを感じさせた。僕らは桟橋のかかった明神池を眺めながら、ルーカスの買ったえび煎餅をかじり、幸平くんは明神岳のスケッチをして帰路についた。
翌日の明け方、僕はひとり山荘を出て河童橋に向かった。そこには誰一人おらず、昨日の喧騒が嘘のように静まりかえっている。橋の上に立ち、ぐるりと周囲を見回してみる。薄い霧に包まれた穂高連峰の山々に見下ろされながら、僕はその静けさに耳を澄ました。
目を閉じると、知覚できる情報は梓川のせせらぎだけになった。その流れの先に体を向けて、そっと目を開けると、薄く藍色に染まった空が、山の谷間から顔を出した。
