生活と創作が交わる、心地よさの形

生活と創作が交わる、
心地よさの形

Out of frames / ikkaku vol.3

「何かを飾る」という行為に込められた物語に焦点を当てたikkaku(一角)シリーズ。

自然と生まれた一角にはその人らしい味わいがあり、好きを並べた一角には深堀りしたい魅力がある。
写真や絵、オブジェ、本など、ジャンルを問わず、暮らしの中でふと目が留まるお気に入りの一角について、さまざまな方にお話を伺っていきます。

今回お話を伺ったのは、グラフィックデザイナーの林 絵子さん。生活と創作がやわらかく交わる、心地よい一角で過ごす日々について語ってくれました。

この家に住み始めて3年目なのですが家具なども揃ってきて空間としてもやっと落ち着いてきました。中でも気に入っているのは父の友人から譲ってもらった真空管アンプです。せっかくなので日々活用したいと思ってレコードを聞けるようにしました。
朝、家を出る前(バスを待っている間など)にレコードをかけて何も考えずに椅子に座ることが日課になっています。チェストはイギリスの1920年代のヴィンテージものなのですが目黒のFROBというお店で出会って、お店のオーナーさんが運んでくれました。

本はずっと集めているのですが、最近だとフロットサムブックスというお店でアラビックの本に出会いました。伝統として残されているものや造形的なものなど視覚的に惹かれるものを買うことが多いです。
あえて本に目がいくように部屋の様々な場所に置いたり、積み重ねたりしているのですが、そのほうがアイディアのきっかけにもなって自分の制作につながるんです。物があるほうが落ち着くので全体的にきれいにし過ぎないようにしていますね。画材も思いついた時にすぐ描けるような場所に置いています。

無垢な素材が好きなので自宅に飾るものは木の素材、暖色系、土っぽい感じのものが自然と集まってきます。あとは自分の知っている作家さんを応援したいという気持ちもあって作品を購入することが多いです。
この一角には根石院さんという作家さんの石の作品を置いています。展示のパンフレットをデザインさせて頂いた時に購入したのですが、自然物なので我が家にも馴染みそうだなと思って選びました。隣の花器は諏訪のリビルディングセンターで購入しました。

このハイチェアも地元松本の家具ブランドatelier m4さんの作品で、黒柿の良い味が出ていて気に入っています。

写真を飾るという事に関しても写真家さんを応援したい気持ちもあるし、直感でいいなと思ったものを選んでます。ここに飾ってあるYoshiki Saitohさんの写真も昔から彼のことも知っていて、展示を見た時に買いたいなと思ったんです。 展示されていた作品の中でも動物の写真はこの一枚だけで、なにか彼の中でも思って撮った物があるのかなと感じて、この一枚にしました。フレームは写真に合うものをお店に探しに行って額装しました。隣には自分が20代前半の頃に制作した作品を飾ってます。

FROM_SOMEWHEREはフレームとセットで販売ということで写真を飾ることが気軽にできるからいいですよね。友人のMoe Kuritaさんの作品ももうすぐ販売されるということで、彼女の作品はFROM_SOMEWHEREにもとても合いそうなので楽しみです。

Editor's Note
日々の中でレコードをかけ、本をめくり、思いつくままに手を動かす。 その自然な流れがそのまま彼女の創作のリズムになっている。 誰かの手のぬくもりを感じる作品に囲まれながら、日常と創作が呼吸を合わせている空間で心地よく時間を重ねる彼女の姿が鮮やかに思い浮かびました。
Profile
林 絵子
グラフィックデザイナー・アートディレクター
ブランディングやサイン計画、パッケージデザインなど。文化をつくる装置としてのデザインを追求している。

Web : https://ekohayashi.com/
Instagram : @hayashi.eko
Credit
Interviewee: Eko Hayashi
Interviewer&Text: Maico Nishikoji(saicorom Inc.)
Photographer: Nanako Koyama
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